夏の終り、からだがくたびれてくるころ。
おかあさんはさっぱりしたものが食べたいけど、
子どもは部活から帰ってきてたくさん食べるに決まってる。
おとうさんは、ビールのおつまみが要るかなあ‥‥。
そんなとき、どうしましょう? 飯島さん。
「野菜たっぷりの天ぷらと、
いただきもののそうめんを合わせるのはどうですか」
なるほど、これなら、食欲のあるひとも、ないひとも、
飲みたいひとも、一緒に食卓を囲めますね。
そういえばいただきもののそうめんが残ってたりもしますね。
てんぷらといっしょなら、「またそうめん?」なんて言われなさそうです。
では、飯島さん、つくりかたをおしえてください。
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まずは天ぷらの種を準備します。
とうもろこしは、そのままでは揚げられないので、
まず一列、包丁を入れて。
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その1列を切り取るように、反対側からも包丁を入れて、
まずその1列の粒をはずします。
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あとは手で、粒をはずしていきましょう。
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こんな状態にしておきます。
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こちらは、かき揚げ用。
にんじんはせん切りに、ごぼうはささがきに、
たまねぎはくし形切りにしておきます。
あとで「いんげん」と「桜えび」をいっしょに揚げます。
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そのほかの野菜は、れんこん、さつまいも、
アスパラガス、なす、しいたけなど。
れんこんは皮をむいて切って、酢水につけました。
しいたけには飾り包丁を入れています。
なすはヘタをとってからタテ4等分にします。
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えびは、まず足と殻をとって。
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背に包丁を入れて。
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背ワタをとってきれいにしたら‥‥
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しっぽを斜めに落とし、とがったところの水を出しておきます。
こうしておくと水分がたまらず、揚げたときに、
油がはねにくくなります。
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そして、ハラ側に、3ヶ所くらい切り込みを入れて。
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えびをひっくり返し、
親指と人差し指でつまむようにして、
まな板に押し付けます。
プチプチと、ちょっとだけ、つぶす感じです。
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見た目はこんな感じです。
こうしておくと、まっすぐ揚がります。
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えびの向こう側にあるのは、キス。
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これは、お魚屋さんで、天ぷら用にひらいて売られているものを
そのまま使うことにしました。
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えびもキスも、キッチンペーパーに並べて、
よぶんな水分をとっておきます。
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衣をつくります。全卵1個。
冷蔵庫で冷やした卵を使います。
(材料の衣は2回分なので、半量ずつ使います。
衣が足りなくなったら、
また残りの半量をつくってください。)
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そこに、約150ccの冷水。
合わせて、1カップにします。
冷たいことが、大事です。
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冷やしながら溶きたいので、
大きめのボウルに氷水をつくります。
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ボウルを二重にして、冷やしながら、水と卵を溶いていきます。
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薄力粉1カップ。100グラムです。
ザルでふるいながら、入れます。
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お箸で、切るように混ぜていきます。
ホットケーキみたいにぜんぶ混ぜちゃ、いけません。
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このくらいの混ざり具合でストップ。
まだ、粉っぽいですけど、
これくらいがちょうどいいんです。
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サラダ油1リットルとごま油200mlを
あわせて火にかけます。
焦げやすい、甘みの強いものから順番に。
165度くらいまで熱します。
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油を熱している間に(目をはなさないように)
飯島さんがタレのようなものをつくりはじめました。
「おそうめんじゃ、物足りないっていうひとのために
天丼もつくっちゃいましょう」ですって!
まずはお酒を大さじ2。
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みりんを大さじ4。
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それを沸騰させて、アルコールをとばして。
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しょうゆ大さじ6をボウルに用意して。
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煮切った、あつあつの酒・みりんを入れます。
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そこに、削りぶしを5グラム。
このまましばらくおいておくだけ。
食べる時、濾して使います。
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油の温度が上がってきました。
衣をちょっと落として、底まで沈んでから浮き上がってきたら
160度はこえています。
さつまいもから、揚げはじめましょう。
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衣をくぐらせて。
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じゅわーっ。じゅわじゅわじゅわー。
いい音がしますね。
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さつまいもは焦げやすいので、
火を強めすぎずに、じっくり揚げていきます。
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いい色に揚がりました。
しっかり油を切りましょう。
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続いては、れんこん。
油は、170度から175度くらいの温度に。
衣を落として、中ほどまで沈んで上がってくるくらいです。
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うん、いい色に揚がりました。
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アスパラも、170度から175度くらいで。
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火の通りははやいので、
さっと揚げる程度で大丈夫です。
なすも同様に、さっと揚げましょう。
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つづいては魚介類の準備です。
薄力粉を、まず、まぶします。
ハラ側を手前にもつといいですよ。
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それを衣にくぐらせて。
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ちょっとふりながら、入れましょう。
魚介類は175~180度くらいまで熱した高温の油で揚げます。
衣を落とすと、表面で散る感じです。
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こうして揚げると、
衣がきれいに広がります。
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天ぷらやさんみたいにはいかなくてもいいけど、
ちょっと見た目がきれいだとうれしい、家庭のえび天です。
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キスも同じように、粉をはたいて、衣をつけて、高温で。
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おいしそう!(おいしいですよ)
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こんどはコーン。
写真だとわかりにくいかもしれないですが、
これも、先に、ちょっとだけ粉をまぶしています。
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そこに衣をかけて。
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さっくり混ぜて。
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衣が少ないようですけど、大丈夫。
あんがい、ちゃんとまとまります。
お魚よりはちょっと低め、170度くらいの油に、
すべらせるように入れて、
火をちょっと強めていきます。
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かき揚げをつくります。
ごぼう、にんじん、たまねぎに、斜めに切ったいんげん、
そして桜えび。
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ちょっとだけ、粉をまぶします。
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さっくり混ぜて粉を行き渡らせて。
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衣をまぶします。
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衣は、そんなに多くありません。
全体にさっくり行き渡るくらいの量です。
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スプーンでとって、170度くらいの油にすべらせます。
やや、火を強めて、かりっと揚げるため、
このまま、しばらくこのままに。
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固まってきたらひっくり返します。
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このくらい浮いてきて、いい色になってきたら大丈夫。
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取りだしたら、すぐに皿に盛らずに、ちゃんと油を切りましょう。
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天ぷらの油切りをしているあいだに
すばやく、そうめんの仕度。
2分くらいで茹で上がりますからね。
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鍋底にはりつかないように、ときどきかきまぜて。
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天ぷらとそうめんのつゆは、
干ししいたけと昆布と厚削りのかつをぶしでとっただしに
みりんとしょうゆで味をつけたもの。
干し椎茸の細切れも入れて柔らかく煮てそのまま冷ましました。
薬味は、ネギと大根おろしとみょうがです。
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茹で上がったそうめんは、氷水でうんと冷やして、
大皿に盛りました。
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よく冷やしたトマトに塩をふったものを、副菜に。
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そして天ぷら。大皿にたっぷり盛っちゃいましょう。
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いっただきまーす!
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天ぷらがおかずで、ごはんがわりにおそうめん。
夏の終りらしい食卓になりました。
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そして、おそうめんだけじゃ物足りない、という子どものためには‥‥
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先ほど用意していた、このタレを使って。
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天丼をつくりました。
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タレをまとった天ぷらが、おいしそう。
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天ぷらも食べて、そうめんも食べて、ビールも飲んで、
さらに天丼まで食べちゃったりして‥‥お父さん、気をつけてくださいね。
夏の終りの天ぷらとそうめん(と、天丼)、
もちろん夏じゃなくてもたのしめます。ぜひどうぞ。
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